当院便秘外来の治療薬選択と腹部超音波検査による便秘の病態分類の試み

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抄録

【目的】近年,新規機序薬の開発により便秘治療の選択肢は拡大したが,その選択は容易ではない.便秘は,排出障害型(O),大腸通過遅延型(D),大腸通過正常型(N)に病態分類されるが,その分類には専門的検査を要し,実地臨床では困難である.本研究では,当院便秘外来患者の治療薬と治療効果を調査した.また,USと腹部X線(US+X)を用いて便秘の病態分類し,治療効果の客観的評価を試みた.【方法】対象は2019年5月~2020年7月に当院便秘外来で治療開始前にUS+Xを施行し得た患者とした.治療薬はエロビキシバット,ルビプロストン,ポリエチレングリコール(PEG)製剤を追加した.患者が2回連続治療薬変更希望なしの場合に治療効果ありとし,それまでに追加した薬剤が1剤(A),2剤(B),効果なし(C)の3群に分けた.治療開始前にUS+Xを施行し,USで便の有無を上行結腸,横行結腸,下行結腸,S状結腸(S),直腸(R)の5か所で同定した.腹部X線で直腸ガスの有無を判定し,直腸にガスありをO型,直腸にガスなし,USでSand/orRに便ありをD型,S+Rに便なしをN型とした.【成績】対象は62人(男20:女42),平均年齢66±17歳.A群37人,B群17人,C群8人であった.A群のうち最終的に内服薬なし8人であった. C群は中央値12か月(6-14)通院しており,3剤併用するも効果なしであった.初診時US+XでO型12人(19.3%),D型36人(58.1%),N型14人(22.6%)と分類した.また,初診時Bristol便形状を硬便(1-2):普通便(3-5):水様便(6-7)とすると,各々28人(45.2%),22人(35.5 %),12人(19.3%)であった.US+Xによる病態分類はBristol便形状と相関する傾向にあった.治療効果ありとされたA+B群54人中39人で治療前後のUSを施行したが,17人(43.6%)はUS+X による病態分類に変化なかった.【結論】当院便秘外来では87.1%の患者で1~2剤の治療薬で治療効果ありであった.しかし,治療前後のUSによる便秘の病態分類は約半数で変化なかった.

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