揮発性成分による玄米中貯穀害虫の検出:リアルタイム質量分析法を用いた迅速分析

  • 田中 福代
    国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター 現 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 高度分析研究センター
  • 四方 政樹
    金陵電機株式会社
  • 猪井 淑雄
    金陵電機株式会社
  • 松尾 徹也
    金陵電機株式会社
  • 宮ノ下 明大
    国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Rapid Analysis of Volatile Biomarkers: Application of Real-time Mass Spectrometry for the Detection of Insect Infestation in Brown Rice
  • キハツセイ セイブン ニ ヨル ゲンマイ チュウチョコクガイチュウ ノ ケンシュツ : リアルタイム シツリョウ ブンセキホウ オ モチイタ ジンソク ブンセキ

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抄録

<p>貯蔵中食物における害虫発生の早期検出を可能にするため,揮発性のマーカー成分の利用を検討している.玄米の害虫加害マーカー候補のうち,ガイマイツヅリガとノシメマダラメイガの指標となるプレノールとイソプレノール,コクゾウムシの指標となるDMTSについて,リアルタイム質量分析計による迅速診断の可能性を検討した.</p><p>プレノールとイソプレノールの検出にはNO によるイオン化によるm/z 86,DMTSにはNO イオン化によるm/z 126を選択し,SIMモードにより測定した.プレノールとイソプレノールは構造異性体のためプロダクトイオンでは識別できないが,プレノールはそのアルデヒドであるプレナールと濃度が同期することから,プレノール類とプレナール(NO, m/z 83)を同時計測することでプレノールとイソプレノールの識別が可能となる.ガイマイツヅリガではプレノールがノシメマダラメイガではイソプレノールが生成したと考えられ,ガイマイツヅリガは実験開始から6日目以降に,ノシメマダラメイガでは31日目以降に卵添加なしと比べて有意な増加が認められた.DMTSでは期間を通じて低濃度で推移し,日間差と処理間差が同程度のためSIMによる診断は困難と考えられた.</p><p>マーカー成分を特定しないFSモードの全データを用いた主成分分析を1,29,36日目に行った.NO によるイオン化により処理区の差異が最も明瞭で,コクゾウムシについても29日目以降に識別可能であった.今後,スケールを拡大しながら実用化に向けた詳細な検討が必要である.</p>

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参考文献 (22)*注記

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