偏心性寛骨臼回転骨切り術後のスポーツ復帰に影響する因子

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抄録

<p>目的 : 偏心性寛骨臼回転骨切り術 (以下ERAO) 後のスポーツ復帰率と復帰に影響を与える因子を調査した。</p><p>対象及び方法 : 1990年から2010年にERAO施行した503例の中, 術前から継続的にスポーツ参加していた124例 (術後平均13.2年) を対象とした。ERAO後に術前と同等のスポーツに参加したと答えたS群と術後参加できていないと答えたN群で評価した。調査項目は性別 (男性or女性), 年齢 (<30歳or 30歳≧), body mass index (BMI) (<25kg/m2 or≧25kg/m2), 片側or両側手術例, 術前のKellgren and Lawrence (以下KL) 分類, 関節適合性 (excellent & good or fair & poor), 小児期発育性股関節形成不全の治療歴の有無, 術前のcenter edge (以下CE) 角 (≧0度or 0度>), 術後のCE角 (≧25度or 25度>), スポーツ種目, スポーツ強度, 日本整形外科学会股関節機能判定基準 (以下JOAスコア) (術前, 術後2年, 最終調査時), 術後合併症, KL分類のgrade進行をエンドポイントとした生存率を2群で比較した。P<0.05の変数をlogistic regression analysisにより復帰阻害因子を同定した。</p><p>結果 : S群72例 (58%), N群は52例 (42%) で全体のスポーツ復帰率は64%であった。術後に多く参加していたスポーツは水泳14例 (11%), ゴルフ8例 (6%), ジョギング8例 (6%) であった。患者因子は術前CE角0度未満のみ両群で有意差を認めた。術前, 術後2年, 最終調査時のJOAスコア及び合併症は両群で有意差を認めなかった。KL分類のGrade進行をendpointとした10年及び20年の関節生存率はS群が98.3%, 75.6%に対してN群は96.8%, 67.1%で有意差は認めなかった。Logistic regression analysisによるスポーツ復帰に影響する因子の評価では術前CE角0度未満のみ有意な因子 (オッズ比3.42, 95%IC 1.58〜7.42, P<0.01) として抽出された。</p><p>結論 : ERAO後のスポーツ復帰率は69%でスポーツ継続はその後の股関節症の進行には影響しなかった。術後のスポーツ復帰に影響を与える因子は術前CE角が0度未満であった。</p>

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