当院におけるretained products of conception(RPOC)に対する治療法の検討

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タイトル別名
  • Management of retained products of conception in our hospital
  • トウ イン ニ オケル retained products of conception (RPOC)ニ タイスル チリョウホウ ノ ケントウ

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説明

<p>RPOCとは,流産あるいは児娩出後の子宮内妊娠組織遺残物の総称であり,産褥出血の原因となる.病理組織診断にて絨毛組織を認めることで確定診断されるが,組織診断の前に臨床的に診断し治療方針の決定を行う必要がある.治療法は待機療法,子宮内容除去術,子宮鏡下手術(TCR),子宮動脈塞栓術(UAE)の併用や子宮全摘術など多岐にわたり,治療法の選択に苦慮する.2014年4月から2019年3月の5年間に当院で経験したRPOC 23症例について後方視的に検討した.年齢の中央値は35歳.初産婦12例,経産婦11例.妊娠形式は自然妊娠20例,体外受精胚移植妊娠3例.妊娠22週未満14例の妊娠帰結方法は子宮内容除去術4例,経腟分娩10例であり,妊娠22週以降9例の分娩方法は選択的帝王切開術1例,経腟分娩8例であった.妊娠22週未満で待機療法を選択した11例中5例が78日(40-83日)で自然脱落を得,5例はTCRもしくはUAE+TCRの方針へ変更し,排出に至った.1例は,待機中に自宅にて大量出血し,救急搬送となり,子宮全摘術を施行した.妊娠22週以降の症例では,待機療法を希望した8例全例が141日(78-341日)で自然脱落もしくは消失した.待機療法はRPOCに対する有効な治療選択肢であり,3~5カ月の待機期間の目安とする.性器出血などを認める場合には,UAEにて子宮への血流を減少させてから待機療法を選択することも考慮する必要がある.一方,待機療法は突然の大量性器出血により子宮全摘術を余儀なくされる可能性がある.積極的治療としては(UAE+)TCRを行う選択肢を提示する.患者の病態や意向が異なるため,十分な評価・説明のうえ個々の症例に応じて治療方針を決定していくことが重要である.〔産婦の進歩73(3)169-176:2021(令和3年8月)〕</p>

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