血管構造を有する類肝組織の構築、およびDILI化合物を予測可能な毒性評価系の検討

DOI
  • 内藤 靖之
    凸版印刷株式会社 総合研究所 大阪大学工学研究科 先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座
  • 芳之内 結加
    凸版印刷株式会社 総合研究所 大阪大学工学研究科 先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座
  • 小原 洋志
    武田薬品工業 薬剤安全性研究所
  • 北野 史朗
    凸版印刷株式会社 総合研究所 大阪大学工学研究科 先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座
  • 入江 新司
    大阪大学工学研究科 先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座
  • 松崎 典弥
    大阪大学工学研究科 応用化学専攻 大阪大学工学研究科 先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座

書誌事項

タイトル別名
  • Construction of Hepatic Vascular Model and Toxicity Assessment System that Can Predict DILI Compounds

抄録

<p>【背景】薬物性肝障害(DILI)は、医薬品の開発/販売中止の主要因であるが、DILIの作用機序は複雑且つ多岐に渡るため、臨床試験前、あるいは後においても、そのリスクを正確に予測することが困難である。ヒト由来細胞からなる人工組織を用いた毒性予測試験も試みられているが、類洞血管構造等の高次な組織形態の再現は依然として困難であり、その毒性予測の精度についても更なる改善が期待される。</p><p>【目的】三次元血管構造を有する類肝組織の作製、および同組織を用いた毒性評価の可否の検証</p><p>【方法】キメラマウス由来ヒト肝細胞(PXB cells)、類洞内皮細胞、肝星細胞(LX-2)を、へバリンおよびコラーゲンの懸濁液で処理することにより粘稠体を形成し、細胞の自発的な集積による組織化を促進させることで血管構造を有する類肝組織を作製した。同組織について肝臓機能の評価と毒性評価ツールとしての利用可能性を検証した。</p><p>【結果】組織形成時の肝細胞比率が65%を占める構成において血管構造を具備することが可能であった。肝細胞によるアルブミン分泌は少なくとも28日間にわたり一定の水準で安定していることを確認した(3 – 6 µg/ 106cells/ day)。遺伝子発現解析の結果から、同じ組織比率で平面培養した細胞群と比較し、肝機能に関わる代謝酵素等の発現が全体的に向上していることを確認した。また、毒性予測能の検証のため、DILIを誘引する既知の化合物を投与し、その予測精度を評価した。特に、類洞閉塞症候群を誘発する化合物として知られているMonocrotalineを投与したケースにおいては、その血管形態を観察・評価を行なう事により、細胞生存アッセイを行った場合よりも10倍以上高い感度でその毒性を予測可能であった。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390289011244372480
  • NII論文ID
    130008073843
  • DOI
    10.14869/toxpt.48.1.0_p-41
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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