ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を用いた食品中化合物の膜透過性および代謝予測性の検討

DOI
  • 北口 隆
    日清食品ホールディングス株式会社 グローバル食品安全研究所
  • 溝田 泰生
    日清食品ホールディングス株式会社 グローバル食品安全研究所
  • 伊藤 美奈
    日清食品ホールディングス株式会社 グローバル食品安全研究所
  • 大野 克利
    日清食品ホールディングス株式会社 グローバル食品安全研究所
  • 小林 和浩
    日清食品ホールディングス株式会社 グローバル食品安全研究所
  • 小川 勇
    名古屋市立大学 大学院薬学研究科 臨床薬学分野
  • 邱 施萌
    名古屋市立大学 大学院薬学研究科 臨床薬学分野
  • 岩尾 岳洋
    名古屋市立大学 大学院薬学研究科 臨床薬学分野
  • 埴岡 伸光
    横浜薬科大学 公衆衛生学研究室
  • 田中 充
    日清食品ホールディングス株式会社 グローバル食品安全研究所
  • 松永 民秀
    名古屋市立大学 大学院薬学研究科 臨床薬学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Investigation of membrane permeability and metabolism of compounds in food using human iPS cell-derived small intestinal epithelial cells

抄録

<p>【目的】食品中に含まれる化合物の安全性を考える上では、経口摂取後の体内動態の把握が重要である。当社では以前から動物実験代替法開発を積極的に進め、ヒトに対する予見性がより高い安全性評価手法の確立に取り組んできた。近年開発されたヒトiPS細胞由来小腸細胞は、従来経口吸収性予測に用いられているヒト結腸がん由来細胞株のCaco-2細胞に比べてヒト小腸に近い特徴を持つことが報告されており(Kabeya T. et al., 2020)、食品中化合物の体内動態予測への適用が強く期待される。そこで本研究では、実験動物不使用での食品中化合物の体内曝露量予測法確立のため、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を用いた膜透過試験および代謝物の比較解析を行った。</p><p>【方法】Transwell上にCaco-2細胞あるいはヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞(F-hiSIEC)を播種し、ヒト腸管吸収率既知の医薬品およびヒト血漿中濃度既知の食品中化合物について膜透過試験を行い、頂端膜側から基底膜側への膜透過速度を求めた。さらに、膜透過速度に細胞間差がみられた食品中化合物についてLC-MS/MSで代謝物生成速度を求め、ヒト初代小腸細胞と比較した。</p><p>【結果・考察】ヒト腸管吸収率既知の医薬品を評価した結果、Caco-2細胞に比べヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞はヒト腸管吸収率と膜透過速度の相関性が高かった。食品中化合物の数種で膜透過速度に細胞間で差がみられ、その多くは細胞間隙経路やグルクロン酸抱合代謝の関与が報告されている化合物であった。グルクロン酸抱合体の生成速度をヒト初代小腸と比較した結果、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞はヒト初代小腸細胞と同等以上の生成速度を有していた。</p><p>以上より、本評価系は食品中化合物の経口吸収性予測に有用なツールであることが示唆された。今後、本評価系を含めたヒト体内曝露量予測についても検討していく。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390289011245072512
  • NII論文ID
    130008073761
  • DOI
    10.14869/toxpt.48.1.0_p-18
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ