micro-CTを用いたマウスにおける肝肥大の経時変化の評価ならびに撮影影響の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Time-Course evaluation of hepatomegaly in mice using micro-CT and the aspect interfering toxicological interpretation

説明

<p>【目的】</p><p>小型動物用マイクロX線Computed Tomographyは、マウスなど小型動物の体内を非侵襲的に3次元画像として観察することができる。同一個体での経時的な評価が可能となることから、データ精度の向上や使用動物数削減といったメリットが期待できる。本研究では、micro-CTを用いて、化合物投与による肝肥大(肝細胞肥大を伴う肝臓重量の増加)の経時変化について評価すると同時にX線照射や造影剤投与が及ぼす影響について検討した。</p><p>【方法】</p><p>Crl:CD1(ICR)雄マウスにフェノバルビタールナトリウムを1000 ppmの用量で7日間混餌投与した。投与開始前、投与3、7日および休薬7日に各5例ずつCT撮影し、撮影直後に摘出した肝臓の重量とCT画像から算出した肝臓体積とを比較した。また、肝臓の病理組織学的検査、細胞増殖率測定(BrdU Labeling index)および遺伝子発現解析(CYP)に加え、血液および血液生化学的検査を実施し、CT非曝露群と比較した。撮影は実験動物用3DマイクロX線CT (Cosmo Scan GX Ⅱ, Rigaku)を用い、造影剤はExitronTM nano 6000 (Miltenyi Biotec Inc.)を使用した。撮影条件は造影剤を投与後50分以降に麻酔下および伏臥位で2分間の撮影をした。</p><p>【結果】</p><p>肝臓重量と体積値との間に高い相関性(R2=0.83)が得られた。体積値は投与3日から高値が認められ、休薬7日に回復した。細胞増殖率および遺伝子発現解析においてCT撮影の影響は認められなかったが、CT撮影群で白血球総数(WBC)の有意な減少が認められた。更に造影剤を投与した一部の個体においてAST、ALT、LDHおよびT-Bilの高値と、組織学的には出血を伴う肝細胞の限局性壊死が認められた。</p><p>【結論】</p><p>肝重量と体積の相関性は良好であり、CT撮影による肝肥大の経時変化の評価は可能と考えられた。WBC数の減少に関してはX線照射の影響の可能性が考えられた。造影剤単独の影響として肝細胞の障害性変化は報告されていないものの、肝肥大と造影剤投与の複合的な影響である可能性は否定できず、今後の検討が必要である。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390289011246197504
  • NII論文ID
    130008073846
  • DOI
    10.14869/toxpt.48.1.0_p-42
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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