見田宗介の社会学理論における近代価値空間の反転と裂開

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タイトル別名
  • Inversion and Divulsion of Modern Value Space
  • 見田宗介の社会学理論における近代価値空間の反転と裂開 : 70年代の理論構想の意義
  • ケンデンソウカイ ノ シャカイ ガクリロン ニ オケル キンダイ カチ クウカン ノ ハンテン ト レッカイ : 70ネンダイ ノ リロン コウソウ ノ イギ
  • The Significance of 1970s in Munesuke Mita’s Theory
  • 70年代の理論構想の意義

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抄録

見田宗介の思索を跡づける際、社会学理論の構築から出発しながら、ある時期以降は近/現代社会の自明性を相対化(反転)するための拠点を深化させてゆき、それによって現実社会の原理的矛盾(と内在的に格闘する社会学)から離れてしまったと見る向きがある。本稿では、そのように指摘される見田の〈理論〉とはなにか、それ自体を含めて再検討し、別様の見方を提起したい。〈反転〉がじつは〈理論〉と結びついていたのではないかという可能性が、1970年代前半に書かれた諸著作、とりわけ「価値空間と行動決定」(1972)を内在的に再考証すると、浮かび上がってくる。当時の見田を貫いていたのは、人間の価値選択をめぐる非条理な矛盾に対する問題感覚だった。非条理を克服する現実的な可能性として見田は、近代の「価値空間」すなわち主体の前に現象する価値の全体構造自体の、内側からの再創造(裂開)の論理の獲得を提起する。これをふまえるならば、その後の見田のいわば外側からの〈反転〉も、〈裂開〉のための媒介として、〈理論〉の中に再定位することができる。〈反転〉と〈裂開〉のこの弁証法的な往還を問い直すことは、見田の所論の今日的可能性を系統的に再検討してゆく新たな視角になりうるだけでなく、見田自身によっても具体化されていない諸課題を展開してみる際の基礎的な参照点にもなると考えられる。

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