3 民主主義と国際社会の動揺——パンデミックの衝撃

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タイトル別名
  • Democracy and International Society on Trial in Times of Pandemic

抄録

<p>パンデミックには、1990年代以降のグローバリゼーションのしくみが深く関わっている。2000年代には「9・11事件」と対テロ戦争、リーマンショックと世界金融危機、グローバルな市民運動、ジェノサイドや人権侵害、難民や移民の波、気候変動などが世界的衝撃を与えたが、2010年代後半にはグローバリゼーションの負の影響を批判する反グローバリズム運動が広がった。本稿では、自由主義的国際秩序の動揺する今日、国際社会を構成する国家のモデルとして、ドイツやEU諸国などの現状維持国家、ネオリベラル・ナショナリストの勝利したイギリスやアメリカとインド・フィリピン・トルコ・ブラジルなどのイリベラル・デモクラシー、東アジアの「開発主義国家」、「中国モデル」と称される中国、軍事大国ロシアを挙げ、各国がパンデミックにどう対応したかを比較分析する。2021年前半現在、「中国モデル」や東アジアの「開発主義国家」の成功の影で、トランプ政権を経験したアメリカやBREXIT内閣のイギリスを含め、G7諸国は感染抑止に苦闘しており、強権的な政権下の中進国やロシアも厳しい状況を抱えている。逆に、ニュージーランド、デンマーク、アイスランド、台湾など、女性リーダーの動かす社会民主主義的な先進諸国の成果は高く評価された。自らの国家や国際社会は「人間の安全保障」を守るか。市民の視点からの「公衆衛生政治」が求められている。</p>

収録刊行物

  • 平和研究

    平和研究 56 (0), 57-84, 2021-08-26

    日本平和学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390289166418148992
  • NII論文ID
    130008078745
  • DOI
    10.50848/psaj.56004
  • ISSN
    24361054
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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