川内工場における漂白薬品低減の取り組み

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タイトル別名
  • Activities for Reduction of Bleaching Chemicals in Sendai Mill
  • センダイ コウジョウ ニ オケル ヒョウハク ヤクヒン テイゲン ノ トリクミ

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抄録

<p>紙パルプ業界を取り巻く環境は,国内の人口減少や紙から電子媒体へのシフトによる構造的要因などによって厳しい状況が続いており,製造現場ではより一層のコスト削減が求められている。</p><p>中越パルプ工業(川内工場のクラフト製造ラインは連釜系列(LBKP)とバッチ釜系列(NUKP,NBKP)の2系列を有しており,連釜系列の漂白工程はD0-EP-D1の3段シーケンスとなっているが,漂白薬品コストが高いことが課題となっていた。この要因としては,ヘキセンウロン酸除去に有効であり二酸化塩素削減効果も高いとされている酸処理段を有していないこと,また,最終パルプ白色度が下限割れをしないよう安全サイドで操業し,規格よりも高い白色度になっていることが挙げられた。さらに,当工場では連釜でのカッパー価変動が大きく,設備容量の小さい酸素脱リグニン設備や漂白設備では変動を吸収しきれず,最終白色度の変動幅が大きい状態であった。</p><p>そこで,これらの問題を解決する手段として,2つの取り組みを実施した。1つ目に国内初の実機適用となったD0段二酸化塩素/モノ過硫酸併用添加である。D0で使用しているpH調整用の硫酸の一部をモノ過硫酸に置き換えることで,二酸化塩素の削減に寄与した。2つ目に漂白負荷計とモデル予測制御を導入し,漂白工程の最適化を図ることで,漂白薬品コスト削減に加え,白色度の平均値を0.4ポイント,標準偏差を0.13,規格外率を50%(従来比)改善することができた。</p><p>この2つの取り組みによって二酸化塩素を17%,苛性ソーダを23%,過酸化水素を4%削減した。本稿ではモノ過硫酸,モデル予測制御の導入から安定操業に至る経験について報告する。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 75 (6), 531-535, 2021

    紙パルプ技術協会

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