病理解剖で特発性肺動脈性肺高血圧症と診断された母体死亡の一例

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  • A case of maternal death diagnosed as idiopathic pulmonary arterial hypertension by pathological autopsy

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抄録

<p> 症例は32歳,4妊2産,小児喘息の既往あり.自然妊娠成立後,前医で妊娠管理を行い,妊娠15週に予防的頸管縫縮術を施行された.妊娠17週から息切れ,呼吸苦が出現し浮腫も出現したため妊娠19週に前医を受診した.右心不全,肺高血圧症,血小板減少症を認め,造影CT検査で肺血栓塞栓症は否定され,精査加療目的に当院救急搬送となった.心エコーで右心負荷が著明で,血小板2.9万/μLに減少し,血栓性微小血管症が疑われた.翌日血小板輸血後の治療方針としていたが急変し死亡した.病理解剖を行い,特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)と診断された.IPAHは若年女性に好発し,周産期に合併した場合の死亡率は30〜50%と高率で妊娠は原則禁忌である.膠原病,心疾患,肺・肝疾患などの既往はなく二次性の肺高血圧症は否定的であった.妊娠中に息切れ,呼吸苦などの出現の際はIPAHも念頭に入れ,迅速に検査加療を行う必要がある.</p>

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