和歌山県の家庭料理 行事食の特徴

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  • Wakayama Prefecture home cooking: event foods

抄録

<p>【目的】日本調理科学会特別研究『次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理』において, 和歌山県では1960〜1970年頃までに定着していた家庭料理について聞き書き調査を行った。この結果から,地域に伝わる行事食の特徴をまとめることを目的とした。</p><p>【方法】平成25年12月〜27年3月に, 地理的環境,経済的背景の異なる12地域(橋本, 那賀, 和海, 上富田, 大塔, 田辺, 勝浦, 太地, 熊野川, 有田川, 由良, 日高)を調査した。調査対象者は各地域2〜4名, 合計38名, 平均年齢72.3±6.3歳, 最高齢は86歳, 最年少は60歳で, すべて女性であった。</p><p>【結果】平成21,22年度特別研究の行事食アンケートから,正月の雑煮は,紀北や紀中では白味噌で丸餅, 紀南ではすまし仕立てで角餅という結果であった。今回もほぼ同様であることが確認できた。雑煮に注目すると, 和海では, 餅以外にうるち米を混ぜて作った「白ぼろ餅」や小豆を混ぜた「赤ぼろ餅」が食べられていた。橋本では,大豆粉を水で練った「うち豆腐」を入れていた。また,大塔では,雑煮として餅を食べず,その代わりに親芋の煮もの「ぼうり」が約600年もの間供されてきた。正月の祝い魚は,鰹,鯖,いがみ(赤ぶだい)など地域により異なった。正月料理としてすしを食べる習慣があり, 鮎やさんまのなれずしや昆布ずし(勝浦,熊野川)などが食べられていた。すしは正月以外の行事食でもよく食べられていた。雛祭りには,海苔巻きやわかめずしを食べる地域があった。祭りには, 柿の葉ずし(橋本),鯖の早なれずしと甘酒(日高), 鯖のばってら,さんまずし,鮎の姿ずし(上富田)など地域によりすしの種類が異なっていた。この結果から, 地域ごとに多様なすしの食文化が行事食として根付いていることが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390289302761086464
  • NII論文ID
    130008085623
  • DOI
    10.11402/ajscs.32.0_174
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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