土壌腐植物質の化学構造とその機能

  • 平舘 俊太郎
    独立行政法人農業環境技術研究所生物多様性研究領域

書誌事項

タイトル別名
  • Soil Humic Substances : their Chemical Structures and Functions
  • 土壌腐植物質の化学構造とその機能[含 質疑]
  • ドジョウ フショク ブッシツ ノ カガク コウゾウ ト ソノ キノウ

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抄録

土壌腐植物質(ヒューミン,腐植酸,フルボ酸)は,土壌の特性や機能を支配している主要成分である。これまでの研究の多くは,抽出•精製が容易な腐植酸を対象としてきたが,近年はヒューミンやフルボ酸についても高回収率の抽出•精製法が提案されている。腐植物質の分子量は数百〜数千程度と従来から考えられてきたサイズより小さく,これらが疎水結合や水素結合など比較的弱い結合(ファンデルワールスカ,7T-7Z•結合,CH-7T結合などを含む)および土壌中の金属元素を介した強い配位子交換反応などによって複合体を形成しているとの考え方が主流になってきた。腐植物質の官能基組成は,固体13C核磁気共鳴によりルーチン的に分析されるようになった。腐植物質の持つ吸着機能および物質移動機能などは,その官能基組成や化学構造からある程度推定可能である。地球温暖化問題が大きくなるにつれ,腐植物質研究に対する関心も高まりつつあるが,腐植物質の研究は定義や研究方法などに改善すべき点が多く残されている。今後は多面的な視点から研究が進むものと期待される。

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