小児生体肝移植におけるchronic AMRの現状と治療

DOI
  • 清水 誠一
    国立成育医療研究センター  臓器移植センター
  • 阪本 靖介
    国立成育医療研究センター  臓器移植センター
  • 福田 晃也
    国立成育医療研究センター  臓器移植センター
  • 内田 孟
    国立成育医療研究センター  臓器移植センター
  • 栁 佑典
    国立成育医療研究センター  臓器移植センター
  • 入江 理恵
    国立成育医療研究センター 病理診断部
  • 羽賀 千都子
    国立成育医療研究センター 病理診断部
  • 中野 憲之
    国立成育医療研究センター 病理診断部
  • 義岡 孝子
    国立成育医療研究センター 病理診断部
  • 笠原 群生
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター

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抄録

<p>【緒言】小児肝移植においてもドナー特異的抗HLA抗体(DSA)による慢性抗体関連拒絶反応(cAMR)はグラフト予後に影響するが、治療まで言及した報告は乏しく、文献的考察を加えて報告する。【対象】2005年11月以降当科で小児生体肝移植(移植時月齢13.5(1-215))を施行し、術後3年以上経過して術後DSAを測定した302例を対象とした。【結果】DSA陽性76例(25.2%)のうち、51例に肝生検を施行した。Banff criteriaに準じて8例をcAMR、5症例をpossible cAMRと診断した。この13例においてDSAのMFI が有意に高値であった(p=0.0049)。一方で4例はMFI<3000でもCAMRであった(MFI最低値:1521)。また原疾患、肝生検時の肝機能、術前クロスマッチ陽性、血液型不適合、移植後経過年数、急性拒絶反応の有無、生検時の免疫抑制剤および血中濃度など免疫学的に影響されると思われた因子はCAMRのrisk factorとはならなかった。13症例中8例にフォローの肝生検を施行し、MFI<3000もしくはMMF導入した5症例で改善を認めた。【結語】MFI低値であってもDSA陽性症例には肝生検を検討する必要性がある。またMFI高値のcAMR症例に対してMMFを併用した免疫抑制療法が有用である可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 55 (Supplement), 397_2-397_2, 2020

    一般社団法人 日本移植学会

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