臓器移植予防接種ガイドラインと感染症対策

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説明

<p>免疫抑制薬進歩による腎移植生着率向上から、感染症と悪性疾患が生存に大きく影響するようになった。病原体側の因子(疫学的暴露)とレシピエント側の因子(免疫抑制状態)の2つバランスにより決まる腎移植後感染症は、DWFG(death with functioning graft)に関係するだけでなく、免疫抑制薬減量からの免疫抑制不足状態長期化により、抗ドナー抗体(DSA)産生を引き起こす可能性がある。抗菌薬による移植腎への副作用、免疫抑制薬との相互作用による濃度変動、腎移植レシピエントに多い抗菌薬耐性などから、腎移植後の感染症対策としてワクチンによる予防が重要になる。必要な腎移植候補者にワクチン接種をすることで、免疫能を獲得もしくは上昇させてから腎移植をするのが理想的である。末期腎不全になった原疾患や腎移植前の免疫抑制療法の有無、移植後の拒絶反応の有無、移植からの期間など、獲得した免疫能は健常人に比べて早く低下または消失する。移植前の免疫能獲得もしくは上昇と同じくらい移植後の免疫能維持が重要であるにもかかわらず、厳格なフォローがされていないことが多い。腎移植前後のワクチン治療を統一する目的で、成人臓器移植予防接種ガイドラインが作成された。実臨床における腎移植候補者や腎移植レシピエントに対して、どのように応用して感染症対策をするかについて紹介したい。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 55 (Supplement), 204_1-204_1, 2020

    一般社団法人 日本移植学会

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