生体肝移植後に中枢神経系PTLDを認め静注髄注併用療法にて軽快した1例

DOI
  • 吉丸 耕一朗
    九州大学病院 小児外科、成育外科、小腸移植外科
  • 内田 康幸
    九州大学病院 小児外科、成育外科、小腸移植外科
  • 河野 雄紀
    九州大学病院 小児外科、成育外科、小腸移植外科
  • 梶原 啓資
    九州大学病院 小児外科、成育外科、小腸移植外科
  • 鳥井ケ原 幸博
    九州大学病院 小児外科、成育外科、小腸移植外科
  • 高橋 良彰
    九州大学病院 小児外科、成育外科、小腸移植外科
  • 松浦 俊治
    九州大学病院 小児外科、成育外科、小腸移植外科

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抄録

<p><背景>主としてEB virus感染により発症する移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)は臓器移植後の免疫抑制状態に発症するBリンパ球あるいは形質細胞の増殖性疾患である。今回われわれは、生体肝移植後に中枢神経系(CNS)-PTLDを来した1例を経験した。<症例>15歳女性。胆道閉鎖症に対し葛西術施行後。肺高血圧および肝肺症候群のため、血液型適合生体肝移植術を施行した。術後6ヶ月より頭痛を認め、MRIにて中脳左側に直径16mmの腫瘍と閉塞性水頭症を認めた。第三脳室開窓術を行い、症状は改善。開窓術後10日目に腫瘍生検を行い、病理検査からmonomorphic B-cell PTLDと診断された。一方で、末梢血EBV-DNAは基準値未満であった。治療として、MMF中止、CyA 1週間休薬し、リツキサン全身投与およびMTX+AraC+PSL髄注を計4回行った。その後の画像評価で病変の縮小および髄液中EBV-DNA 3x102 copy/mlから2x102 copy/ml未満に改善を認めた。現在発症後約2年半が経過し、明らかな後遺症はなく、病変は徐々に縮小している。<考察>肝移植後のCNS-PTLDは血清学的診断は困難であるため、移植後に中枢神経症状を認めた場合にはCNS-PTLDを疑い、画像、髄液検査や腫瘍生検による早期診断、早期治療に努めなければならない。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 55 (Supplement), 382_1-382_1, 2020

    一般社団法人 日本移植学会

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