二次腎移植後尿管穿孔に対して移植尿管固有尿管端側吻合を施行した一例

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抄録

<p>症例は45歳、女性。26歳時にループス腎炎を原疾患とする慢性腎不全に対して母をドナーとした生体腎移植を施行。45歳時に慢性拒絶による移植腎機能廃絶にて血液透析再導入となり、再導入後2カ月で父をドナーとして二次移植(血液型不適合)を施行した。レシピエントの背景として30年以上のステロイド使用歴があり、これまでフルニエ壊疽、解離性大動脈瘤、両側大腿骨頭壊死の既往があった。二次腎移植術後、腎機能は順調に改善したが、術後10日目にドレーン量が増加したためドレーン生化学を提出したところ尿の混在を疑う所見であった。膀胱造影では吻合部のリークはなく、造影CTの排泄相でドレーン先端の遠位部付近で尿管の後腹膜への穿孔を疑う所見を認めた。保存的に経過をみたが、ドレーンからの尿のリークが減少しないため術後15日目に再手術となった。尿管は腎盂からの3cm程度(中枢側)と膀胱吻合部からの2cm程度(末梢側)は血流良好であったが、間の2-3cmは血流不良で尿管粘膜が露出・菲薄化して尿が全体的にしみ出している状態であり、ドレーンと交差する部位と一致していた。血流不全部位からマージンととって切除すると腎盂から2cm程度しか確保できなかったため、膀胱吻合は困難と判断し、固有尿管との端側吻合で吻合を行いDJステントを留置した。経過は良好で術後2カ月でDJステントを抜去し、現在はステントフリーで腎機能も良好である。 </p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 55 (Supplement), 390_3-390_3, 2020

    一般社団法人 日本移植学会

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