カニクイザルの推定された排卵時期における超音波ガイド下での経腹的子宮腔内人工授精法の開発
書誌事項
- タイトル別名
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- Ultrasound-guided, transabdominal, intrauterine artificial insemination for cynomolgus macaques based on estimated timing of ovulation
抄録
<p>人工授精はウシやブタなどの家畜の繁殖技術として、あるいはヒトにおいても不妊治療の一つとして広く利用されている。一方でヒトと同じ霊長類であるカニクイザル、アカゲザルおよびニホンザルなどのマカク属では、子宮頸管が蛇行したような構造を持つため、経膣による子宮腔内への精子注入は容易ではない。マカク属において、いくつかの人工授精法が報告されているが、妊娠率は一貫して高くなく、排卵に関する詳細は不明である。そこで、本報告では、排卵に基づいたより効果的な人工授精について検討した。 まず排卵時期については、月経出血が確認された雌カニクイザルから採血を行い、血清中エストラジオール(E2)およびプロゲステロン(P4)を自動蛍光酵素免疫測定装置にて約30分で測定した。E2およびP4の動態から排卵直前であることを推定し、人工授精に供試した。精子については、電気採精によって得た精液から精子懸濁液を準備した。その懸濁液を超音波ガイド下で経腹的に子宮腔内へ注射針の穿刺により注入した。この処置におよそ10分間を要した。 排卵したことを確認するために、人工授精後数日間採血を行い、E2およびP4を測定した。妊娠診断はおよそ4〜5週後に実施した。排卵直前と推定された 6頭に子宮腔内精子注入を行ったところ、ホルモン動態から排卵が確認された5頭の内の4頭で妊娠が成立した。排卵が確認できなかった残りの1頭について妊娠は成立しなかった。妊娠した5例の内、一例で流産したが、残り3例で産仔が得られ、母子ともに異常は確認されなかった。我々はカニクイザルにおいて、迅速なホルモン測定によって推定された排卵直前に経腹的な子宮腔内への精子注入による処置時間が短く、安全な超音波ガイド下での人工授精法を確立した。</p>
収録刊行物
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- 霊長類研究 Supplement
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霊長類研究 Supplement 37 (0), 48-48, 2021
日本霊長類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390289464514378368
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- NII論文ID
- 130008091061
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可