近視眼で近方視過多による後天共同性内斜視(近視性後天性内斜視)

DOI
  • 鎌田 さや花
    京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学

書誌事項

タイトル別名
  • Acquired Concomitant Esotropia in Myopia with Excessive Near-distance Work

この論文をさがす

抄録

<p> 近視を伴う内斜視は大きく2つに分けられ,一つは眼窩部のmagnetic resonance imaging(以下MRI)において眼球後部が筋円錐から脱臼して生じる強度近視性斜視で,もう一つは眼球脱臼を認めないもの(近視性後天性内斜視)である.眼窩部MRIを用いて各疾患の眼窩開き角を計測すると,近視性後天性内斜視と強度近視性斜視では有意な差があり,近視を伴う内斜視の2タイプは眼窩骨形状が異なり,発症機序も異なることが推察された.</p> <p> 近視性後天性内斜視の発症機序は未解明であるが,近年10~30代の若年者を中心に増えている後天共同性内斜視のうちの一つと考えられ,急性後天共同性内斜視(acute acquired concomitant esotropia: AACE)として報告される疾患群との類似点が多い.ただし近視性後天性内斜視の発症形式は急性というよりは潜行性発症(insidious onset)である.近視性後天性内斜視の典型的な発症形式は,最初は間欠的な遠見内斜視で,徐々に進行すると複視を自覚する視距離が近づいてきて,いずれ恒常性斜視となる.未矯正や低矯正の近視眼が多く,近い視距離での近見作業過多や遠方を明視しない生活習慣がその発症に関与する可能性がある.</p>

収録刊行物

  • 神経眼科

    神経眼科 38 (3), 248-256, 2021-09-25

    日本神経眼科学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ