P1-38 Novel Bioactivity of "Ouabagenin", Aglycone of Cardiotonic Glycoside "Ouabain"

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  • P1-38 強心配糖体ウアバインのアグリコン「ウアバゲニン」が示す生理活性

Abstract

【序論】  医薬品開発の元となる分子や生命現象の解明に役立つツールなどは、天然資源をソースとして探索されることが多いが、これまでに多くの研究者が多数の化合物を単離・構造決定してきており、同様のコンセプトや方法によって新規な生理活性物質を見出すことが年々難しくなってきている。一方で、分子生物学の発展に伴い、既存の生理活性物質に全く別の新規な活性が発見される事例も近年散見されるようになってきた。このような観点から、我々は天然物の世界において数多く存在している配糖体に関心を持った。これまで配糖体は、生理活性を示すアグリコン部に糖を結合させることで不活性化した、排泄や貯蔵のための誘導体であると考えられてきた。しかし、特異な多官能基性分子であるそのアグリコンが有する生物活性を、活性試験からスクリーニングする試みはあまり行われていない。そこで、我々は、強心配糖体として良く知られる「ウアバイン」とそのアグリコンである「ウアバゲニン」に着目した(Fig. 1)。  ウアバインはキョウチクトウ科植物などに含まれるステロイド配糖体であり、心筋に作用してその収縮力を高めることから、鬱血性心不全や不整脈の治療に古くから用いられてきた1。しかしながら、近年ウアバインなどの強心配糖体がヒトを含めた哺乳動物の体内からも微量成分として見出されており、これらは内因性ジキタリス様物質と呼称されている。中でもウアバインは副腎組織から初めて同定された内因性ジキタリス様物質であり、現在では血圧調節に関与する内因性リガンドであると考えられている2。ウアバインの作用メカニズムは長年不明であったが、その標的分子がNa/K-ATPaseであることが明らかとなり、3位水酸基上の糖部(ラムノース)がその親和性獲得に重要な役割を果たしていることが、X線結晶構造解析から示されている。一方、ウアバインのアグリコンであるウアバゲニンについてはほとんど研究例がなく、Na/K-ATPaseへの親和性は著しく低く、特異的な標的分子や生理活性についても全く知られていなかったため、単にウアバインの不活性な生合成前駆体であるとみなされていた。しかしながら、ウアバゲニンは、ステロイド骨格に6個の水酸基が結合したオキシステロール類の一種であると捉えることが可能であり、近年オキシステロールには多様な生理活性が次々と明らかにされていることから、ウアバゲニンにもウアバインとは異なる何らかの生理活性が存在するのではないかと考え、その標的分子探索を含めた機能解明に着手した。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390289532560428544
  • NII Article ID
    130008092892
  • DOI
    10.24496/tennenyuki.60.0_487-492
  • ISSN
    24331856
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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