低温発芽性を有するリンゴ花粉の探索

書誌事項

タイトル別名
  • Apple Pollen Selection Using Higher Germination Properties at Low Temperatures
  • テイオン ハツガセイ オ ユウスル リンゴ カフン ノ タンサク

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説明

<p>近年のリンゴ開花期間における低温傾向に対応するため,10°Cの低温条件でも発芽が可能で,主力品種 ‘ふじ’ に対する人工受粉用花粉として適する品種を選定した.まず,受粉専用品種を含む全26品種を対象とし,10, 15および20°Cの各条件における花粉発芽率を調査した結果,10°Cにおける発芽率は ‘ふじ’ を除くと2か年とも ‘はるか’ が最も高く,‘王林’ が最も低かった.次に,‘はるか’ および ‘王林’ の他,10°Cでの花粉発芽率が高かった品種のうち,広く生産され花粉を獲得しやすい ‘シナノゴールド’ を加えた3品種について,10または20°C条件でそれぞれの花粉を ‘ふじ’ の花に受粉した.その結果,‘はるか’ および ‘シナノゴールド’ の花粉の場合は両条件とも高い結実率を示したのに対し,‘王林’ の花粉の場合,10°C条件では20°C条件に比較して明らかに低かった.また,50花当たりの花粉重量は,これら3品種の中で ‘王林’ が最も少なかった.さらに,3品種のいずれの花粉を受粉しても,‘ふじ’ の果実形質および果実品質に差はないことを確認した.以上より,‘はるか’ および ‘シナノゴールド’ の花粉は低温発芽性を有し,花粉量も多いことから,低温条件下の ‘ふじ’ に対する人工受粉用の花粉として有望であると考えられ,現在一般的に使用されている ‘王林’ よりも優れた特性を有することが明らかとなった.</p>

収録刊行物

  • 園芸学研究

    園芸学研究 20 (3), 287-294, 2021

    一般社団法人 園芸学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (15)*注記

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