地域組織活動への参加によって健康を維持する独居高齢者の相互交流の構造

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  • 金森 弓枝
    山口大学大学院医学系研究科保健学専攻博士後期課程
  • 守田 孝恵
    山口大学大学院医学系研究科地域・老年看護学

書誌事項

タイトル別名
  • Interactions of Community Organization Activities Participation for Healthy Older Adults Living Alone
  • チイキ ソシキ カツドウ エノ サンカ ニヨッテ ケンコウ オ イジ スル ドッキョ コウレイシャ ノ ソウゴ コウリュウ ノ コウゾウ

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抄録

<p> 本邦では増加する独居高齢者の健康維持支援に保健師や社会福祉士など地域で活動する保健医療福祉の専門職があたっており,中でも保健師は個別支援に留まらず地域組織活動を支援する役割を担っている.本研究の目的は,地域組織活動への参加によって健康を維持していると考えられる独居高齢者において,健康は相互交流を基盤にどのように維持されているのか,その構造を明らかにすることである.対象は,1年以上独居生活を送り地域組織活動に継続的に参加している高齢者6名(男性3名,女性3名)で,半構成面接調査を行った.調査では地域組織活動に参加することは,自分の健康にどのように役立っていると思うか等について尋ね,分析には質的統合法(KJ法)を用いた.その結果,地域組織活動によって健康を維持する独居高齢者の相互交流の構造として次のような結果を得た.</p><p> 対象は,〘地域組織活動への期待〙として〔充実感や心地よさの獲得〕を根底に抱きながら,長年の活動の中で,各人の〔豊富な人生経験が生む思考の幅〕を活かした交流を行い,〘仲間との友好的系譜を形成〙していた.同時に,〘仲間との友好関係を継続〙するために相手に合わせて距離感をコントロールするなど〔人間関係を円滑に進める社会的スキル〕を働かせていた.また,このような友好的系譜の積み重ねは,地域の中に〔配偶者に代わる心の拠り所〕を見出し〘居場所を感じる安心感〙を得ることと地域組織活動によって〔知的刺激を享受〕し〘認知的にメリハリのある日常生活〙を送ることに繋がっていた.だが一方で,時折,〔心身の余裕を喪失〕するほどの〘地域組織活動での苦慮〙も経験していた.以上のことから,保健師は,独居高齢者の身体的・精神的・社会的な側面からセルフコントロールを評価しつつ個別支援を積み重ねるとともに,地域組織活動を通してコミュニティが主体的に健康課題の解決に取り組めるよう継続支援を行っていく必要がある.</p>

収録刊行物

  • 山口医学

    山口医学 70 (1), 5-16, 2021-03-04

    山口大学医学会

参考文献 (5)*注記

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