コモンマーモセットにおける体細胞クローン法の最適化
書誌事項
- タイトル別名
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- Optimization of somatic cell nuclear transfer technology in common marmosets
説明
<p>【目的】非ヒト霊長類のコモンマーモセットは操作性に優れており遺伝子改変も可能なことから,ヒト疾患モデルとして期待されているが,ファウンダーで起こるモザイクやその解決にかかる交配期間などが効果的な利用を阻んでいる。体細胞クローンを用いるとこれらの問題を一挙に解決できるが,霊長類のクローン胚は発生が非常に悪いため,長く実現しなかった。我々は以前の研究で,ドナー体細胞核にある抑制性ヒストン修飾H3K9me3を脱メチル化酵素Kdm4dで取り除くと,マウスのクローン胚の発生率が大幅に改善することを見出した。そこで本研究では,このKdm4d法を用いてマーモセットでの体細胞クローン技術を確立することを目的とした。【方法・結果】GV卵を卵巣より採卵し,in vitro成熟(IVM)させてMII卵を得た。マイクロマニピュレーターを用いて除核し,ドナーの卵丘細胞核をピエゾ法によって注入,もしくは線維芽細胞をセンダイウィルス法によって融合して核移植を行った。まず,IVM 後20時間以上で核移植を行うと胚の発生率が高かった。また,核移植後卵子はイオノマイシン+DMAP処理によって90%以上が活性化した。発生率の改善のため,トリコスタチンA処理に加えてKdm4d mRNAを注入した。Kdm4dはエタノール沈殿精製よりもカラム精製した場合に発生率が高かった。以上の最適化により,GFP線維芽細胞から作製したクローン胚のうち,約10%が胚盤胞に発生した。これらの胚でドナー細胞ゲノムから発現するGFPが検出されたことから,体細胞クローンであることが証明された。さらに,パーキンソン病モデルであるAPKOマーモセットからもクローン胚盤胞を10%程度の効率で作出できた。【結論】マーモセット体細胞クローン胚の10%程度が胚盤胞へと発生する諸条件を見出した。今後は体内成熟MII卵を使用するなどして,さらに胚発生率の向上を目指すとともに,得られたクローン胚を子宮に移植することで世界初のマーモセットクローン胎仔・産仔を目指す。</p>
収録刊行物
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- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
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日本繁殖生物学会 講演要旨集 114 (0), P-78-P-78, 2021
公益社団法人 日本繁殖生物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390289697237899648
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- NII論文ID
- 130008103971
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可