培地の保存期間がⅡ型糖尿病モデルMEMマウスの表現型に与える影響について

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タイトル別名
  • Effect of medium storage period on phenotypes of type II diabetes model MEM mice

抄録

<p>【目的】着床前胚の時期の母体の低栄養がその後産子の体重増加や高血圧などの循環器疾患を引き起こすことが報告されている。われわれは,αMEM培地に一定時間暴露した胚より得られた産仔(MEMマウス)が糖尿病の症状である肥満や糖代謝の異常を示すことを見出した(第112回本大会)。本研究では,安定的に2型糖尿病を発症する作出技術を確立するために,αMEM培地の保存期間が表現型に与える影響を検討した。【方法】体内受精したマウス受精卵を2細胞期に回収し,培地のメーカーが指定した消費期限までの日数をxとしたαMEMx培地を用いて胚を48時間培養し仮親に移植した(x=120,110,101, 50)。対照群には研究室で作成したCZB培地を用いた。作出した雄マウスを8週齢より高脂肪食餌に切り替えその後の体重および糖代謝に与える影響について検討した。【結果・考察】胚盤胞率は,培地が古いほど低下する傾向が見られたが(x=120,110,101, 50;78,81,86,69%, n>45),産仔率及び性比に影響は見られなかった。8週齢時の糖負荷実験では血糖上昇曲線下面積iAUCの平均値は,培地が新しい順に低血糖,高血糖,正常にとなる傾向が見られた(x=120,110,101, 50;3227,6480,10471, 6928)。また,糖負荷時のインスリン濃度変化から,MEM120は低インスリン,MEM110では個体間のばらつきが大きく,MEM50では正常に近づくことが示唆された。また8週齢から高脂肪食開始後一ヶ月時点の生存率を比較すると培地が古くなるにつれ生存率が上がった。しかしこれらの生存した個体では低体重のものが多く,糖負荷実験では特にMEM120とMEM110において高血糖を示した(x=120,110;834,487)。以上の結果から,MEM培地作成後の保存期間によって成体における表現型が異なり,安定して糖代謝異常を顕著に示すMEMマウスを作出するためには培地の保存期間の管理が重要であることが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390289697238932096
  • NII論文ID
    130008103963
  • DOI
    10.14882/jrds.114.0_p-72
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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