妊娠ラットの血中オートタキシンと血圧変動の関連性

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タイトル別名
  • Relationship between blood autotaxin and blood pressue in pregnant rats

抄録

<p>オートタキシン(ATX)の触媒によって産生されるリゾホスファチジン酸(LPA)は6種類のGPCR(LPA1~LPA6)に結合することで,血管新生や血管収縮を含む様々な生理・病態生理作用を示す。本研究では妊娠ラットの血管系におけるATX/LPA系の役割を調べるために,いくつかの動静脈におけるLPA1~LPA6のmRNAや蛋白質発現を調べると共に,妊娠期の血圧動態とそれに対するATXやLPAの効果を検討した。血中ATXの酵素活性は妊娠後半期に一過性に上昇した。子宮動静脈,後大動脈,腎動脈,頸動脈におけるLpar1-6のmRNA発現をqRT-PCRによって測定したところ,部位や受容体サブタイプにより,妊娠期間中の動態は様々であった。免疫染色による検討では,血管の種類,部位,妊娠・非妊娠に関わらず中膜においてLPA3の強い陽性反応,LPA4の弱い陽性反応が認められた。また,血管の内膜および中膜におけるLPA6の陽性反応,LPA5の弱い陽性反応が明らかとなった。続いて妊娠期の血圧(収縮期血圧)を測定すると妊娠12日目までは120 mmHg前後の値で推移し,その後減少し始め,21日目に最低値を示した。分娩日の23日には増加し,その翌日には妊娠前半期のレベルにまで回復した。妊娠21日目にLPA(0.14 mg/kg)を静注すると約23 mmHgの一過性の上昇が観察された。抗ATX血清(0.2 ml)を静脈内に投与した場合,少なくとも1時間以内には有意な変化は見られなかった。Alzetミニポンプを用いて18日目から慢性的に投与すると20日目において抗ATX血清投与群で高い値を示した。以上の本成績より,ラットにおいてLPAの血圧上昇作用が確認され,血管に発現する複数のLPA受容体が媒介している可能性が示された。また妊娠後半期に上昇する血中ATX活性とは逆に,血圧は分娩日に向けて急速に低下し,抗ATX血清投与でその低下がわずかながら抑制されることも示された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390289697240955392
  • NII論文ID
    130008103939
  • DOI
    10.14882/jrds.114.0_p-54
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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