細胞の電気回転速度を指標とした分化誘導剤の評価

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タイトル別名
  • Evaluating the effects of differentiation inducers on K562 cells by measuring electrorotation rate

抄録

<p>回転電場中の細胞は回転する.回転速度は,細胞質導電率と細胞膜容量に依存する.そのため細胞の回転速度の計測は細胞の非侵襲な評価に繋がる.我々は,K562細胞の赤血球様細胞への分化による電気回転速度の増加を見出してきた.本研究では,種々の分化誘導剤のK562細胞への効果を電回転速度として評価した.4つ正方形状のITOマイクロ電極を“田”の字型に配置させ,その中央部にマイクロウエル(φ40 μm,高さ20 μm)を作製した.この電極へ90°ずつ位相をずらした交流電圧(2 Vpp, 300 kHz)を印加し,ウエル内のK562細胞の電気回転速度を計測した.K562細胞の分化誘導剤は2 mM 酪酸ナトリウム (NaB),10 mMニコチン酸 (NA),10 mMイソニコチン酸 (INA)を用いた.NaBで処理した細胞は,処理前と比較して有意に速く回転した(1.2倍,p<0.05).分化により,細胞質内ヘモグロビンや鉄イオン濃度が増加し,細胞質内イオン組成が変化したためである.次に,NAとINAで分化誘導したK562細胞の電気回転速度を評価した.INA処理細胞では回転速度の有意な増加を示した一方で,NAでは回転速度の変化は認められなかった.INAで処理した多くの細胞がヘモグロビンを産生したが,NAでは,ほとんど認められなかった.回転速度によって化合物の分化誘導能を評価できることが判明した.</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 Annual59 (Abstract), 320-320, 2021

    公益社団法人 日本生体医工学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390289765040546688
  • NII論文ID
    130008105237
  • DOI
    10.11239/jsmbe.annual59.320
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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