多職種における自閉スペクトラム症に対する支援の現状とニーズに関するアンケート

DOI
  • 入江 啓輔
    京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻作業療法学講座
  • 義村 さや香
    京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻作業療法学講座
  • 稲富 宏之
    京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻作業療法学講座
  • 十一 元三
    京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻作業療法学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Questionnaire on the Current Status and Needs of Support for Autism Spectrum Disorder in Multiple Occupations
  • ―ASDのある人に対する支援の現状とニーズ調査―

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抄録

<p>平成30年度より本学で展開中の文部科学省採択事業「発達症への介入による国民的健康課題の解決」の目標の一つは,自閉スペクトラム症(ASD)に対する高度医療人材を輩出することである.事業開始にあたり,ASD支援の現状とニーズを把握する必要があった.平成30~31年度に実施されたASDに関する3つの研修会で11項目のアンケートを実施した.438名が研修会に参加し,78%にあたる342名から回答を得,98%以上が専門的知識を身につける必要があると感じていた.関心領域は,療育,就労,社会的問題,医療的問題と幅広かった.40%以上が,的確な助言をもらえる専門家/多職種による支援体制をコーディネイトする専門家が「ほとんどいない」または「いない」と回答した.さらに,歯科医師が医師や心理士および教育職に比べて有意に「ほとんどいない」または「いない」と答える割合が高かった(p<0.05).ASD支援に必要な専門的知識・領域は多種多様であり,対応のために多職種連携の必要があることを本調査は示した.一方,相談先となったり,支援体制をリードする専門家の不足があり,特に歯科医師でその傾向が顕著であることも明らかとなった.近年,多領域で医科歯科連携の重要性が報告されており,ASD支援においても連携の拡充が必要と考えられる.ASDはさまざまなライフステージで多職種による適切な支援が必要であり,ASDに対する高度医療人材を育成する本コースが担う役割は重要である.</p>

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