O-5-04 当施設における麻疹・風疹・ムンプス・水痘ウイルス抗体価の実情

  • 夫 敬憲
    社会福祉法人 土佐希望の家医療福祉センター 医務部
  • 吉川 清志
    社会福祉法人 土佐希望の家医療福祉センター 医務部

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はじめに かつて、てんかんなどの神経疾患を有する人に対するワクチン接種はその副反応の危険性から控えることが多かった。当施設の入所者に関しても、罹患歴やワクチン接種歴不明なことがほとんどである。今回、院内感染対策の一環として、利用者、職員のウイルス抗体価を測定したので報告する。 対象と方法 当施設入所利用者と職員を対象に、麻疹、風疹、ムンプス、水痘・帯状疱疹ウイルスの血清抗体価測定をEIA法にて実施した。判定はIgG 2.0未満を陰性とし、麻疹16.0未満、風疹8.0未満、ムンプス4.0未満、水痘・帯状疱疹4.0未満を基準を満たさない陽性者でワクチン対象者とした(日本環境感染学会ガイドライン)。 結果 「利用者」平均年齢は47.5歳、男性63名、女性71名、計134名。麻疹抗体陰性者は男性9.5%、女性4%、ワクチン対象者は47%。風疹抗体陰性者は男性52.4%、女性43.7%、ワクチン対象者は69.4%。ムンプス抗体陰性者は男性27%、女性31%、ワクチン対象者は52.2%。水痘抗体陰性者は男性6.3%、女性2.8%、ワクチン対象者は10.4%であった。「職員」平均年齢は46.4歳、男性88名、女性149名、計245名。麻疹抗体陰性者は男性2.3%、女性0.7%、ワクチン対象者は35.9%。風疹抗体陰性者は男性9%、女性3%、ワクチン対象者は14.1%。ムンプス抗体陰性者は男性6.8%、女性4.7%、ワクチン対象者は28.9%た。水痘抗体陰性者は男性0%、女性0%、ワクチン対象者は0.4%であった。 考察 職員に関しては各ウイルス抗体保有率はほぼ全国平均並みであった。利用者に関しては予想通り、抗体保有率は軒並み低かった。特に、風疹、ムンプスの抗体保有率が低かった。抗体保有率で男女差はほとんどなかったことから、抗体保有はワクチンによるものより自然感染によるものと考えられる。 結論 今回の結果は、おそらく全国的に見ても重症心身障害児(者)施設の現状を捉えているものと考えられ、抗体検査およびワクチンの接種の重要性を呼びかけるための資料として価値あるものと考える。 申告すべきCOIはない。

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