P-5-04 重症心身障害者のアルブミン値に影響を及ぼす要因の検討

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抄録

目的 重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))にみられる慢性的なアルブミン値の低値について影響を及ぼす要因を多角的な視点から検討する。 対象・方法 重症児(者)病棟の利用者(18歳以上)89名の年齢、ADL、栄養経路、蛋白質摂取量、アルブミン値、抗てんかん薬(今回は内服者が多いPHT、PB、CBZ、VPAに限定)内服の有無について後方視的に調査。データを分類し、アルブミン値3.5g/dl未満を基準値未満群、3.5g/dl以上を基準値以上群とし、各項目の分類で統計学的分析を行った。 結果 基準値未満群は全体の28%、基準値以上群は72%で、それぞれの項目において分類別にl×m分割表による分析(p<0.05)の結果、すべてに有意差は認められなかった。しかし、分類上群間に差がみられたADL、栄養経路、蛋白質摂取量、VPA内服の有無の4項目にスピアマン順位相関を行った結果、アルブミン値とADLの関係に強い相関が認められた。さらに、上記4項目について基準値未満群と分類別にl×m分割表による分析を行ったが、有意差は認められなかった。また、やや基準値未満群が多い「寝たきり、経管栄養、蛋白質摂取不足群、VPA内服有」の条件が揃っていたのは6例で、そのうち基準値未満は1例のみであった。 考察 重症児(者)の低アルブミン血症については、筋肉量との関係やVPAの影響、経管栄養による蛋白摂取不足などが指摘されている。今回の結果でもアルブミン値とADLに強い相関が認められたことからADLの低下がアルブミン値に影響を及ぼしている可能性はあると言える。しかしその他の要因では統計学的な有意差は認められなかった。低アルブミンに陥りやすいと考えられている要因が重複することに重要性はなく、要因は1つでもアルブミン値に影響を及ぼす可能性があると考えられるが、今後さらに検討していく必要がある。 申告すべきCOIはない。

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