アブラナ科自家不和合性の分子生物学的研究の現状と展望

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タイトル別名
  • Recent molecular biological studies on <i>Brassica</i> self-incompatibility and future perspectives
  • アブラナカ ジカ フワゴウセイ ノ ブンシ セイブツガクテキ ケンキュウ ノ ゲンジョウ ト テンボウ

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抄録

アブラナ科植物の多くは、近親交配を防ぐために、自己花粉の発芽・柱頭内への花粉管の侵入を特異的に阻害する機構である自家不和合性を有している。アブラナ科植物の自家不和合性は、基本的には多数の複対立遺伝子を持つ1遺伝子によって説明され、花粉と雌しべのS対立遺伝子が一致したときに、柱頭内への花粉管の侵入が阻害される。また、花粉の認識特異性が胞子体の遺伝子型によって決定されるため、胞子体型自家不和合性に分類される。自己花粉が認識されて花粉管の侵入が柱頭上で抑制されることから、柱頭と花粉に自家不和合性の自他認識反応に関与する分子が存在すると考えられた。アブラナ科植物には、主要な野菜であるキャベツ、ブロッコリー、カリフラワーやカブ、ハクサイ、ツケナ類、チンゲンサイ及び、ダイコンが含まれ、自家不和合性を利用した一代雑種品種の採種が商業的に行われている。アブラナ科植物の自家不和合性は、分子生物学的に興味深い現象であると同時に、育種学的にも重要な研究課題である。

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