禁煙外来初診患者におけるうつ状態の調査

DOI
  • 長谷川 浩二
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 寺嶋 幸子
    (独)国立病院機構 京都医療センター 外来看護部
  • 佐藤 哲子
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 井上 美鈴
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 和田 啓道
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 伊藤 知明
    (独)国立病院機構 京都医療センター 外来看護部
  • 飯田 夕子
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 山陰 一
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 島津 章
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 高橋 裕子
    奈良女子大学 健康管理センター

書誌事項

タイトル別名
  • Depressive state of patients on their initial visit to a smoking cessation clinic

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抄録

背景:高血圧、糖尿病、心筋梗塞症などの生活習慣病においてうつ状態の潜在的な存在が示唆されている。喫煙習慣ならびにうつ病の存在はそれぞれ独立した心血管危険因子であると同時に、うつ病の患者は禁煙成功率が低いことが知られており、危険因子集積の原因になっている可能性がある。このような問題を解決する第一歩として喫煙者におけるうつ状態に関して検討した。<br> 目的:本研究では、女子大学生を対象に、ステージ理論が、喫煙行動の習慣化についても適用でき、ステージの推移にしたがってprosとconsが系統的に変化することを検証すること、また、ステージにともなう喫煙に関わる諸要因の変化を明らかにすることを目的とした。<br> 方法:精神疾患を指摘されたことのない禁煙外来初診患者30名(男26名、女4名、平均年齢61才)においてSDS(Self-rating depression scale)テストを施行し、種々のパラメーターとの相関を検討した。<br> 結果:対象者のSDSスコアは23点から67点の範囲に分布し、1例(3%)がSDSスコア53点以上のうつ病、7例(23%)が48点以上52点以下の神経症、9例(30%)が39点以上47点以下の正常/神経症境界であった。SDSスコアが全く正常範囲にあるのは13例(43%)と半数以下であった。SDSスコアはブリンクマン指数(喫煙本数/日×年数)、喫煙開始年齢や、ニコチン依存度の指標であるFTND及びTDS点数とは有意な相関は認められなかった。しかし問診表における禁煙の自信度(%)が低いほど有意にSDSスコアが高かった(r=-0.396, p=0.0327)。<br> 結論:うつ病と診断されていなくても喫煙患者においてうつ状態が比較的高頻度に存在することが明らかとなり、禁煙の妨げになっている可能性が示唆された。

収録刊行物

  • 禁煙科学

    禁煙科学 vol.2 (02), 23-26, 2008

    日本禁煙科学会

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