20~30歳代女性喫煙者のニコチン依存と禁煙意思との関連要因

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between nicotine dependence and willingness to quit smoking in female smokers of 20 to 39 years old.
  • -Web調査による分析-

この論文をさがす

説明

背景:近年の喫煙率の傾向として、男性の喫煙率は低下しているのに比べ、20~30歳代の女性の喫煙者率は増加向にある。これまでの先行研究において、女性のニコチン依存は、喫煙本数を主体としたFagerstr?m Test for Nicotine Dependence(FTND)等で評価されており、ニコチン依存は低いとされてきた。一方2006年より健康保険適用の禁煙治療が制度化され、ニコチン依存症の診断にTobacco Dependence Screener(TDS)が使用されていることから、FTND、TDS、喫煙本数の少ない若年者向けに開発されたHooked on Nicotine Checklist(HONC)の一部を用いて20~30歳代の女性喫煙者のニコチン依存の現状を分析することと禁煙に対する意思との関連要因を検討することを目的とした調査を行った。<br> 方法:対象はインターネット調査会社にモニター登録している20~30歳代の女性現喫煙者である。インターネット調査を用いて、喫煙状況、ニコチン依存度としてFTNDおよびTDS、HONCの一部、禁煙の意思等について調査を実施した。喫煙者1000名の回答を集め、分析を行った。<br> 結果:不正回答および直近1ヶ月全く喫煙していない者を除く喫煙者975名の1日当たり平均喫煙本数は14.3本、平均喫煙年数は10.3年であった。FTNDスコア平均は3.5±2.2(SD)、TDSスコア平均は5.3±2.7(SD)であった。健康保険による禁煙治療適用基準となるTDSスコア5点以上の「ニコチン依存症」となるのは62.9%であった。HONCの項目である「たばこを止めることが本当に難しい」から喫煙しているのは37.5%であるが、89.4%が「日常生活の中で無性にたばこが吸いたくなる」というたばこ渇望を感じており、喫煙本数やFTNDスコアには表れない強いニコチン依存があることが示唆された。喫煙女性の78.4%が将来禁煙する意思があったが、1ヶ月以内に禁煙したいと考えている58名中、禁煙治療適用条件であるTDSスコア5点以上は34名で、かつブリンクマン指数200以上に該当するのはわずか8名であった。<br> 結論:20~30歳代の女性喫煙者は、喫煙本数が少なくても強いたばこ渇望があり、TDSスコアの評価からもニコチン依存症に該当する者が過半数を占めた。禁煙の意思は、喫煙本数や喫煙年数が少ないほど高くなっていた。しかし喫煙本数や喫煙年数が少ないために、禁煙したくても現在の健康保険制度による禁煙治療が適用されない実態が明らかとなった。

収録刊行物

  • 禁煙科学

    禁煙科学 vol.3 (02), 7-17, 2009

    日本禁煙科学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ