分布境界におけるミネカエデ類の遺伝構造

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タイトル別名
  • Genetic structure of the <i>Acer tschonoskii</i> complex in its distribution boundary

抄録

<p>カエデ属(Acer)は東アジアを中心に多様化した木本植物であり、日本列島には約27種が分布している。カエデ属には分岐年代の浅い種群を擁する節(Sect.)が存在し、分布境界における近縁種間の交雑が多様化に関係していると考えられる。本研究では、ウリハダカエデ節(Sect. Macrantha)に分類されるミネカエデ(A. tschonoskii)と近縁なナンゴクミネカエデ(A. australe)を対象に、2種の分布境界における遺伝構造を明らかにすることを目的とした。これらの2種が分布するとされる関東甲信越地方において、2020年6月から10月に、ミネカエデ類11集団230個体から葉や芽を採取し、核SSRマーカーと葉緑体シーケンスによって遺伝的分化と遺伝構造を分析した。その結果、ミネカエデとナンゴクミネカエデは新潟県と長野県の間に分布境界があり、遺伝的にも分化していることが示された。また、長野県以南のナンゴクミネカエデの集団間には明確な遺伝構造は見られなかったが、分布境界付近のナンゴクミネカエデの集団にはミネカエデと共通する祖先由来の混合が多く見られた。これらの結果は、2種の祖先集団が二次的に接触し、遺伝的な交流が生じていることを示唆している。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390290088580847232
  • NII論文ID
    130008117678
  • DOI
    10.11519/jfsc.132.0_378
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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