花粉分析に基づく小笠原諸島母島における定住化前後の植生変化

DOI
  • 志知 幸治
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所四国支所
  • 鈴木 節子
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所樹木分子遺伝研究領域
  • 須貝 杏子
    島根大学生物資源科学部

書誌事項

タイトル別名
  • Vegetation change before and after settlement in Hahajima Island, Ogasawara Islands based on pollen analysis

抄録

<p>小笠原諸島は独自の植物生態系を発展させた海洋島である。しかし、人が定住するようになった江戸時代後期以降に人為影響を強く受けるようになり、その植物生態系は大きく変化した。残された植物群の維持および回復を検討するためには、人為影響を受けていない定住化以前の植生の状態および、定住化以降に人が植生に及ぼした影響について知る必要がある。そこで、本研究では母島南部の湿地において堆積物を採取し、花粉分析に基づき定住化前後の植生変化を明らかにした。表層から約50cm深までのいずれの層準においてもタコノキ属花粉が最も多く産出した。湿地周辺では、タコノキが現在まで広く分布していたと考えられる。それ以外では16cm深を境に花粉組成は大きく異なっていた。16cm以深ではヤシ科、ツバキ科、ホルトノキ属、マメ科などが産出し、これらが原植生を構成していたと考えられる。一方、それ以浅では二葉のマツ属およびモクマオウ属が多産し、リュウキュウマツおよびトクサバモクマオウの移入の影響を反映していた。文献記録から、これらの分類群の増加開始は明治時代前期以降と判断されるが、放射性物質に基づく年代推定を進めているところである。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390290088580882560
  • NII論文ID
    130008117917
  • DOI
    10.11519/jfsc.132.0_507
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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