クマノザクラの種子の保存と発芽に関する考察

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タイトル別名
  • A discussion about storage and germination of Kumano cherry's seeds

抄録

<p>紀伊半島に分布するクマノザクラは、2018年に学名 Cerasus kumanoensis が発表された野生種で、観賞目的での利用が期待されている。増殖手法に関しては、これまで種子増殖が比較的簡易であることが報告されているが、詳細な種子の取扱いついては不明な部分が多い。そこで、採取・発芽させた種子について、採取後の処理方法や発芽率・得苗率などを分析し、適切な取扱い手法について検討した。2017~2020年の4~5月に三重・奈良・和歌山の自生地の60母樹から約8,000粒の種子を採取した。採取した種子は、果肉の除去と洗浄をおこない、ひと月ほど室内で風乾させた後、低温湿層処理をおこなった。低温湿層処理後40~200日まで発芽を続けたが、おおよそ60~80日に最も多く発芽した。発芽までの日数は年や母樹によって大きく異なったが、風乾日数と発芽日数に正の相関関係が見られた。一方、発芽後の実生は、本葉が伸びる段階まで育てばその後1年以上は大部分が生存していたが、発芽直後に種子の腐敗や奇形などの要因で死亡するものが20~60%ほど見られた。この結果、高い得苗率を得るためには、種子の洗浄・殺菌などの対策がきわめて重要と考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390290088582095104
  • NII論文ID
    130008117790
  • DOI
    10.11519/jfsc.132.0_393
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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