口腔機能発達不全を伴う空気嚥下症の児に対し,口腔筋機能療法(MFT)が有効であった1例

DOI
  • 杉本 明日菜
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔科学部門臨床歯学系小児歯科学分野
  • 河原林 啓太
    徳島大学病院小児歯科
  • 岩本 勉
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔科学部門臨床歯学系小児歯科学分野 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科小児歯科学・障害者歯科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Oral Myofunctional Therapy Improved Aerophagia with Orofacial Myofunctional Disorders : A Case Report

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抄録

<p>空気嚥下症は過剰な空気の嚥下により,曖気(げっぷ),悪心,腹部膨満などの症状が持続的に生じる疾患である。患児は10歳6か月の男児で,当院小児外科で噴門形成術の術後より,空気嚥下による慢性的な腹部膨満症状と腹痛を訴えていた。このたび症状の改善がみられないため,術後の管理を行っていた当院小児科より当科を紹介された。患児は無意識下嚥下の際に,舌を上下顎歯列間に何度も突出させ,同時に口輪筋,オトガイ筋の過剰運動を行うことによって,より多くの空気を混ぜ込みながらの嚥下を頻回に行っていた。そこで,口腔筋機能療法(MFT)を開始し,安静時舌位の改善ならびに嚥下運動の正常化を目指した。訓練を重ねたところ,患児の舌位ならびに嚥下運動は改善し,それに伴い異常な空気嚥下の減少と腹部膨満症状とそれに伴う腹痛の軽快を認めた。これまで患児は胃内に溜まった空気を脱気するために,経鼻胃管が留置されていたが,訓練開始5か月後には胃管での脱気を必要としなくなり,胃管を抜管することができた。さらに口腔筋機能の改善に伴い,初診時にみられた開咬の改善もみられた。</p><p>初診より1年7か月以上経過した現在も,訓練によって獲得された口腔筋機能は維持されており,過剰な空気嚥下や腹部膨満症状もなく,良好に経過している。</p>

収録刊行物

  • 小児歯科学雑誌

    小児歯科学雑誌 58 (3), 195-203, 2020-11-25

    一般財団法人 日本小児歯科学会

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