顔の知覚に及ぼす利き手の効果―事象関連電位による検討―

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  • Effect of Handedness on Face Perception: An Event-Related Potential Study

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抄録

<p>本研究は,顔の全体処理における利き手の効果をP100 及びN170 事象関連電位成分を用いて検討することを目的とした。19名の右利き者(平均21.3歳,平均利き手指数92.6)と14名の左利き者(平均20.4歳,平均利き手指数-71.3)を対象に正立または倒立の顔と時計を刺激とする標的検出課題を実施し,課題遂行中の実験参加者の脳波を測定した。その結果,まず両側後頭領域(O1,O2)におけるP100 に関して,右利き者では顔刺激に対し,倒立呈示のときに正立呈示よりP100 の振幅が有意に大きくなったが,左利き者ではこのような顔の倒立効果が認められなかった。また,右後頭領域(O2)において,左利き者のP100 振幅における顔の倒立効果が右利き者より有意に減衰し,この顔の倒立効果の大きさは利き手指数と有意に相関した(r=.47)。一方,両側側頭後方領域(T5,T6)のN170 では,右利き者と左利き者のいずれに関してもN170潜時において,倒立顔に対して有意に潜時が遅延する顔の倒立効果が同様に観察された。以上の結果から,利き手が顔の全体処理とかかわる脳領域やそれが生じる時間的タイミングに影響することが示唆された。</p>

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