楽観・悲観性と思考スタイルがストレスフルな体験後の心理的変化に及ぼす影響

書誌事項

タイトル別名
  • The impact of optimism, pessimism, and thinking styles on psychological changes after a stressful event

抄録

<p>楽観性が心的外傷後成長(PTG)を促進することが示されているが,PTGに至るプロセスや,心的外傷後ストレス障害(PTSD)への影響を含めて検討した研究は見られない。本研究では楽観性と悲観性,また,私的自己意識の反すう特性(自己への脅威や不安について思考する特性)と省察特性(好奇心に動機づけられ,積極的に内省する特性)が,PTGとPTSDに及ぼす影響を検討した。大学生(N=159)を対象に,楽観・悲観性尺度,反すう・省察特性を測定するRumination-Reflection Questionnaire,各自のストレスフルな体験に基づいた外傷後成長尺度拡張版と改訂出来事インパクト尺度への回答を依頼した。</p><p>楽観性は省察特性を経てPTGに,悲観性は反すう特性を経てPTSDに至るモデルを仮定し,共分散構造分析を行った。仮説モデルの適合度指標は許容範囲であった。楽観性がPTGを促進する先行知見が追試されたが,省察特性の関与は見られなかった。悲観性は直接PTSDの悪化に関与し,さらに反すう特性が関与してPTSDを悪化させる経路も明らかになった。また,省察特性がPTSDの制御に寄与することも明らかとなった。悲観性,反すう,省察特性への介入がPTSDの制御につながる可能性がある。</p>

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