ボスニア・ヘルツェゴヴィナにおける民族及び共通内集団アイデンティティが政治的態度と過激化に与える効果

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of ethnic and common ingroup identity on political attitude and radicalization in Bosnia and Herzegovina.

抄録

<p>本研究では民族及び共通内集団アイデンティティがボスニア・ヘルツェゴヴィナにおける社会秩序と過激化に与える効果を検討した。共通内集団アイデンティティモデル(Gaertner and Dovidio, 2000)に基づき,「ヨーロッパ人」および「ボスニア国民」アイデンティティが権威正当性知覚を強め,民主主義軽視と過激化支持を弱めると予測した。ボスニア国内の5都市(サライェヴォ,モスタル,ゼニツァ,トゥズラ,バニャルカ)の住人252名(平均年齢46.3歳)が民族アイデンティティ(ボシュニャク,クロアチア系,セルビア系),共通内集団アイデンティティ,権威正当性知覚,民主主義軽視,過激化支持に関する項目に回答した。分析の結果,ボシュニャク・アイデンティティはボスニア国民への同一化を介して民主主義軽視を弱めていたが,クロアチア系とセルビア系アイデンティティはボスニア国民への同一化を介して民主主義軽視を強めていた。またクロアチア系アイデンティティは権威の正当性知覚を弱め,過激化支持を強めていた。これらの結果は共通内集団アイデンティティが民族紛争後の社会再建過程において肯定的にだけ働く訳では無く,否定的に働く事を示唆している。</p>

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