腸肝軸と肝疾患

  • 大谷 直子
    大阪市立大学大学院・医学研究科・病態生理学

書誌事項

タイトル別名
  • Gut-liver axis and liver diseases
  • 腸肝軸と肝疾患 : 腸内細菌関連因子による肝がんの進展機構
  • チョウ カンジク ト カン シッカン : チョウ ナイ サイキン カンレン インシ ニ ヨル カンガン ノ シンテン キコウ
  • ― gut microbial metabolites and components promote liver cancer ―
  • ―腸内細菌関連因子による肝がんの進展機構―

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抄録

<p>肥満は様々な種類のがんを促進することが指摘されている.私たちは全身性の化学発がんマウスモデルを用いた研究により,高脂肪食摂取により肥満したマウスにおいて肝がんの発症が著しく促進されることを見出した.そして,二次胆汁酸であるデオキシコール酸(DCA)を産生するグラム陽性腸内細菌が高脂肪食摂取により増加することで,腸肝循環により肝臓に運ばれたDCAとグラム陽性菌の細胞壁成分リポタイコ酸(LTA)が,肝臓の間質に存在する肝星細胞の細胞老化と細胞老化随伴分泌現象(SASP, senescence-associated secretory phenotype)を協調的に誘導し,肝がん促進的ながん微小環境を形成することを見出した.LTAを介する経路により,プロスタグランジン(PG)の産生酵素,シクロオキシゲナーゼ2の発現も著しく上昇しており,PGE2が抗腫瘍免疫を抑制し,肝がんの進展に寄与することが明らかになった.この機構はヒトのNASH肝がんの一部でも認められ,ヒトでも同様の機構が働いている可能性が示唆された.</p>

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