転移巣からの穿刺吸引細胞診にて診断を推定しえた肝 fibrolamellar carcinoma の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • Utility of fine-needle aspiration cytology in the diagnosis of fibrolamellar carcinoma with distant metastases
  • ―A case report―

この論文をさがす

抄録

<p>背景 : 肝 fibrolamellar carcinoma (FLC) は, 本邦では極めてまれな肝原発悪性腫瘍であり, 細胞像に関する報告は少ない. 今回われわれは, 急激な経過を辿った FLC 症例を経験し, その経過中に施行された頸部リンパ節穿刺吸引検体にて FLC の転移を推定しうる細胞所見を観察しえたので報告する.</p><p>症例 : 37 歳, 女性, 遷延する咳嗽を主訴に当院を受診した. CT にて最大 7.5 cm までの多発肝腫瘤と頸胸部多発リンパ節腫大が指摘された. 頸部リンパ節からの穿刺吸引細胞診の結果に基づいて治療が計画されたが, 呼吸循環動態の急激な悪化により受診後 20 日で死亡した. 頸部リンパ節穿刺検体では, 核小体明瞭な腫大核と豊富な好酸性顆粒状胞体を有する大型多角形細胞が細胞接着に乏しい集塊として認められた. 胞体内には pale body が散見され, 一部胆汁産生や胞体内腺腔が認められた. 免疫染色では Arginase-1, CK7, CD68 に陽性を示した. 血清肝炎ウイルスマーカーはすべて陰性であり, 肝 FLC の転移が強く示唆された. 病理解剖にて肝 FLC の全身転移と肺の癌性リンパ管症が確認された.</p><p>結論 : FLC を特徴づける細胞像は, 転移巣の穿刺吸引検体においても保持されており, 臨床背景と免疫染色を合わせることで, その診断推定は十分に可能と考えられた.</p>

収録刊行物

参考文献 (14)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ