都市部高齢者による世代間交流型ヘルスプロモーションプログラム “REPRINTS”の 1 年間の歩みと短期的効果

  • 藤原 佳典
    東京都老人総合研究所・社会参加とヘルスプロモーション研究チーム
  • 西 真理子
    東京都老人総合研究所・社会参加とヘルスプロモーション研究チーム
  • 渡辺 直紀
    東京都老人総合研究所・社会参加とヘルスプロモーション研究チーム
  • 李 相侖
    東京都老人総合研究所・社会参加とヘルスプロモーション研究チーム
  • 井上 かず子
    東京都老人総合研究所・社会参加とヘルスプロモーション研究チーム
  • 吉田 裕人
    東京都老人総合研究所・社会参加とヘルスプロモーション研究チーム
  • 佐久間 尚子
    東京都老人総合研究所・自立促進と介護予防研究チーム
  • 呉田 陽一
    東京都老人総合研究所・福祉と生活ケア研究チーム
  • 石井 賢二
    東京都老人総合研究所・ポジトロン医学研究施設
  • 内田 勇人
    兵庫県立大学環境人間学部
  • 角野 文彦
    滋賀県東近江地域振興局地域健康福祉部
  • 新開 省二
    東京都老人総合研究所・社会参加とヘルスプロモーション研究チーム

書誌事項

タイトル別名
  • AN INTERGENERATIONAL HEALTH PROMOTION PROGRAM INVOLVING OLDER ADULTS IN URBAN AREAS “RESEARCH OF PRODUCTIVITY BY INTERGENERATIONAL SYMPATHY (REPRINTS)”  FIRST-YEAR EXPERIENCE AND SHORT-TERM EFFECTS
  • 公衆衛生活動報告 都市部高齢者による世代間交流型ヘルスプロモーションプログラム--"REPRINTS"の1年間の歩みと短期的効果
  • コウシュウ エイセイ カツドウ ホウコク トシブ コウレイシャ ニ ヨル セダイ カン コウリュウガタ ヘルスプロモーションプログラム REPRINTS ノ 1ネンカン ノ アユミ ト タンキテキ コウカ

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抄録

目的 高齢者の高次生活機能である社会的役割と知的能動性を継続的に必要とする知的ボランティア活動—子供への絵本の読み聞かせ—による介入研究“REPRINTS”を開始した。その 1 年間にわたる取り組みから得られた知見と課題を整理し,高齢者による社会活動の有効性と活動継続に向けた方策を明らかにする。<br/>方法 “REPRINTS”プログラムの基本コンセプトは高齢者による「社会貢献」,「生涯学習」,「グループ活動」である。対象地域は都心部(東京都中央区),住宅地(川崎市多摩区),地方小都市(滋賀県長浜市)を選び,2004年 6 月一般公募による60歳以上ボランティア群67人と対照群74人にベースライン健診を行った。3 か月間(週 1 回 2 時間)のボランティア養成セミナーを修了後,6~10人単位のグループに分かれ地域の公立小学校,幼稚園,児童館への定期的な訪問・交流活動(主な内容は絵本の読み聞かせ)を開始し,2005年 3 月に第二回健康診査を行った。<br/>結果 ベースライン健診において,孫のいない者の割合(41.8% vs. 20.3%,P=0.006),就学年数(13.4±2.5 vs. 12.3±2.5年,P=0.008),過去のボランティア経験あり(79.1% vs. 52.7%, P=0.001),通常歩行速度(86.7±12.3 vs. 81.3±12.9 m/分,P=0.012)で,ボランティア群は対照群に比べそれぞれ有意に高かったが,他の諸変数では両群に有意差はなかった。第二回健診時点での活動継続者56人は社会的ネットワーク得点で,孫,近隣以外の子供との交流頻度および近隣以外の友人・知人の数が対照群に比べて有意に増加した。社会的サポート得点でボランティア群は対照群に比べて友人・近隣の人からの受領サポート得点は有意に減少したが,提供サポート得点は有意に増加した。ボランティア群は対照群に比べて「地域への愛着と誇り」,健康度自己評価,および握力において有意な改善または低下の抑制がみられた。<br/>結論 9 か月間の世代間交流を通した知的ボランティア活動により健常高齢者の主観的健康感や社会的サポート・ネットワークが増進し,地域共生意識および体力の一部に効果がみられた。自治体との協働により,新たな地域高齢者のヘルスプロモーションプログラムを構築しうることが示唆された。

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被引用文献 (16)*注記

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参考文献 (29)*注記

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