<シンポジウム>シンポジウム開催の趣旨

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  • <Symposium>Motivations for opening the Symposium

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抄録

平成7〜8年度に導入された第2世代タンデトロン加速器質量分析計(加速器年代測定システム, 第2号機)はメーカーによる性能試験が無事終了し, 続いて研究者自身による試験を準備している.これは, 年代が既知の試料について正確に年代値が出せるか否かの試験, 及び^<14>Cバックグラウンドの試験である.^<14>Cバックグラウンドが低ければ, より古い年代まで測定できる.実試料の測定開始は夏頃になると考えている.本報告書に述べられているように, 2号機では, 1号機に比べて^<14>C年代測定の諸性能が大幅に向上する.例えば, 2万年前より若い年代の試料では, 測定誤差は±20〜±30年まで小さくすることが可能となり, 試料1個あたりの測定時間は30分程度に短縮され, 年間あたり3,000個程度の試料が測定できる能力を持つ.また, 6万年前に遡る年代測定も可能になると期待される.1号機, 2号機のこれからの利用計画に際して, 1号機を用いたこれまでの研究実績を総括するためにこのシンポジウムを開催した.シンポジウムには80名を越える参加者があり, 活発な質疑応答があった.^<14>C年代測定の利用者や関連する研究に従事される方, また考古学・文化財マニア等がこれらの年代測定システムに対して持っておられる興味の深さがうかがい知れる.今回の特別講演では, 広大な太平洋におけるモンゴロイド集団の移動・拡散・適応を一貫して研究してこられた, 京都大学霊長類研究所の片山一道教授にお願いした.片山先生が計画された海外学術調査である1993-1994年のクック諸島マンガイア島の調査には, 当センターの小田・中村が同行し, 試料採取を行った.それらの試料の一部はタンデトロン1号機で^<14>C年代測定が実施されており, 本報告書に掲載されている.時間の関係で一般講演扱いとしたが, 京都教育大学・坂東忠司先生, 福井教育大学の山本博文先生には地質関連試料の^<14>C年代測定の応用例, 国立歴史民俗博物館の辻 誠一郎先生には考古遺物試料への高精度^<14>C年代測定の応用例, 愛知文教大学の増田 孝先生, 広島大学名誉教授の吉沢康和先生には文化財資料, 特に古文書資料への応用例を紹介していただいた.また, 元興寺文化財研究所の山田哲也先生には古代鉄の謎解きへの利用について, 富山県小矢部市教育委員会の伊藤隆三先生には, 富山県桜町遺跡の特徴, 考古学研究の上での同遺跡の重要性と^<14>C年代測定実施の必要性について報告していただいた.これらの応用分野は, 高精度・高正確度の^<14>C年代測定が可能な2号機では益々重要になることが予想される.以上の講演に加えて, 第1世代機を利用して実施された種々の独創的な研究の成果を, 利用者の方々に報告していただいた.また, 参加者の皆さんには活発なご討論に加わっていただいた.さらに, 講演の一部については講演内容をまとめた論文を寄稿いただいた.表1に示すプログラムの中で, *印の付いた講演については, 論文を寄稿いただいている.今後の研究にとって参考になることが期待される.

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