哲学と幸福 : ソクラテス的「哲学の勧め」とプラトン的高等教育

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タイトル別名
  • Philosophy and Happiness : Socratic Exhortation to Philosophy and Platonic Higher Education
  • テツガク ト コウフク ソクラテステキ テツガク ノ ススメ ト プラトンテキ コウトウ キョウイク

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抄録

本稿は、哲学、とくに哲学史の教育が、共同生活を営む人間の生きがい、幸福の源泉となりうること、またその点に関して初等哲学教育と専門哲学教育の間に本質的相違はないことを論じる。哲学は、単に何らかの問題を立てて自由に議論することではない。自由な主体的思考と思われるものが実際には、無意識の願望から結果する既成の判断であることはしばしばある。哲学は自らの思考を反省的に振り返ることによって真実へと接近し、より善き生き方をするところに成立する。大学での哲学教育は、プラトン的「魂の向け変え」を通して、消費者にすぎなかった学生を主体的生産者に変える最適の方法である。哲学史の学習は、現代の限られたパースペクティブとは別の見方に立つことを可能にする訓練として特に有効である。教師と学生の協力のもとになされる原典理解の試みは、チャレンジングな問題の克服の仕方の訓練として、現代の複雑な社会において刻々と移り行く情勢の変化に対応しうる知的能力を養い育てる。心の深い思考と感情を筆記しようとする哲学の訓練は、優れたゼネラリスト-この世界におけるwin-winゲームの勝利者-を生み出すまたとない方法である。

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