The Judgement on the Tax Correction Requests from Bankrupt Money Lenders Concerning the Refund of Disputed Overpaid Interest Rate (1)

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  • 倒産した貸金業の過払金返還債権確定を理由とする更正の請求の可否 : 前期損益修正の公正処理基準該当性を巡る裁判例の検証を中心として(上)
  • トウサン シタ カシキンギョウ ノ カバライキン ヘンカン サイケン カクテイ オ リユウ トスル コウセイ ノ セイキュウ ノ カヒ : ゼンキ ソンエキ シュウセイ ノ コウセイ ショリ キジュン ガイトウセイ オ メグル サイバンレイ ノ ケンショウ オ チュウシン トシテ (ジョウ)
  • トウサン シタ カシキンギョウ ノ カフツキン ヘンカン サイケン カクテイ オ リユウ ト スル コウセイ ノ セイキュウ ノ カヒ : ゼンキ ソンエキ シュウセイ ノ コウセイ ショリ キジュン ガイトウセイ オ メグル サイバンレイ ノ ケンショウ オ チュウシン ト シテ(ウエ)

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平成18年に最高裁がグレーゾーン金利の支払を無効として以来、貸金業者に対する過払金請求訴訟が急増した。同金利分を益金に算入して確定申告してきた貸金業者クラヴィスは、この最高裁判決を受けて破産したが、この破産会社の破産管財人は、過払金返還請求権が破産債権者表に記載されて破産債権として確定したことが、国税通則法(以下「通則法」という)23条2項1号及び同条1項1号に該当するとして更正の請求を行い、理由がない旨の通知の取消しなどを求めて出訴した。一審判決はこれを棄却したが、控訴審判決は原判決を取り消し、破産管財人の請求を認容した。TFK事件など同種の先行訴訟では、「前期損益修正は当該損益修正が生じた事業年度の損益として処理すれば足りる」とする法人税法通達2-2-16(以下「本件通達」という)を根拠に、現年度調整(前期損益修正処理)のみを法人税法22条4項の公正処理基準に該当すると判断し、請求が棄却されていた。しかし、前述の最高裁判決を受けて破産した貸金業者が、同金利の過払金を返還して事業年度の損金額に算入しても、欠損金が増加するだけで過払法人税の返還にはつながらない。この結果、租税法の趣旨目的に反し、「所得なきところに課税する」という事態を招いているといえる。本稿では、上記の控訴審判決と同様に、このような事例においては、過大納付によって国に生じた不当利得を返還させる手続にほかならない「更正の請求制度」を定めた通則法の本則に照らし、破産会社の更正の請求を認めるべきとする税法解釈論の展開を試みた。そこでは、先行訴訟の判断の根拠とされた本件通達は、法人税の所得計算の前提となる企業会計上の利益計算がその基本原則である「継続企業の原則」(ゴーイング・コンサーン)に依拠しているため、ゴーイング・コンサーンが崩壊した会社については、従前の前期損益修正の議論の枠を超えた「特別の事情」が存在している点を考慮し、救済を図る必要があることを論じた。一方、クラヴィス事件控訴審で、過年度遡及会計処理も公正処理基準に該当するとの新判断が示されたことは、過去の判例と整合性が取れず、疑問があることも述べた。公正処理基準としては、現年度調整と過年度への遡及処理の両方を認めるのではなく、従来の数多くの判例が示す通り、現年度調整のみを認めるべきである、という指摘である。本論文では、クラヴィス、TFKの両事件を中心に、前期損益修正の公正処理基準該当性を巡る判例を検証し、倒産した貸金業者の救済に向けた論理を明確にすることも合わせて試みた。

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