<論文>授受表現における一人称の明示性について

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>A Study of the Specification of the First Person in Japanese Giving-and-Receiving Expressions

説明

本稿は授受表現における格情報の明示と省略について、情報構造の観点から考察したものである。授受表現は視点の制約によって話し手と主格名詞句、与格名詞句の関係が決まっている。そのため、話し手自身が授受表現の経験者として関わっている場合、一人称で示される格情報は推論可能であり、省略が可能となる。しかし、『現代日本語書き言葉均衡コーパス』に見られる授受表現の格情報を調査すると、一人称の格情報は必ずしも省略されるのではなく、むしろある文脈効果を狙い、明示されるケースがあることを指摘した。本稿の主張は、①授受表現における一人称を表す格情報の明示が構文的に必要とされる条件として、他のトピックとの階層性をもたせることと、授受表現の後接文にまで、トピックとして働き続けることがあり、②確認可能性が高い一人称の格情報の明示による文脈効果として、他のトピックとの対比、限定による卓立性を持ち、話し手自身の存在を活性化させる効果が話し手の伝達態度につながるという 2 点に集約される。

収録刊行物

  • 国際日本研究

    国際日本研究 8 195-209, 2016-03

    筑波大学人文社会科学研究科国際日本研究専攻

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