カラの主語性に関する研究 : コーパス検索および文処理実験

書誌事項

タイトル別名
  • A study on the subjective property of kara : Corpus search and sentence processing experiment
  • カラ ノ シュゴセイ ニ カンスル ケンキュウ : コーパス ケンサク オヨビ ブン ショリ ジッケン

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説明

本研究はコーパスおよび文処理実験の2つの側面から,主語を示すカラの使用法を検討した。まず,『現代日本語書き言葉均衡コーパス中納言』に収録された新聞,広報紙および雑誌の3つのジャンルで「名詞+カラ+動詞」のパターンを検索した。カラが主語で使用されるのは,新聞コーパスの696件中1件,広報紙コーパスの1,138件中1件,雑誌コーパスの3,053件中13件のみであった。カラ格の主語が通常は使用されないことを示した。次に,主語を表すカラが,主語のガと同じような特性を持つかどうかを確認するために,文処理実験を行った。ガ格主語は動詞句内から移動したといわれるが,カラ格の主語は動詞句内に留まっているという仮説に基づき,時の副詞句を挿入して,ガ格主語の正順語順のASOVとSAOVの語順,カラ格主語の正順語順のASOVとかき混ぜ語順のSAOVの反応時間と正答率を測定した。その結果,反応時間および正答率ともに,ガ格主語文およびカラ格主語文にスクランブル効果はみられなかった。したがって,ガ格の主語と同様に,カラ格の主語も動詞句外に位置し,同様な主語性を持つということを実証した。

収録刊行物

  • ことばの科学

    ことばの科学 28 71-90, 2014-12-05

    名古屋大学言語文化研究会

参考文献 (1)*注記

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