「極性項目の認可条件に関する一考察」

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  • キョクセイ コウモク ノ ニンカ ジョウケン ニ カンスル イチ コウサツ

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抄録

否定の表現というのは人間にしか出来ないことである。そのため,どの言語にも必ず存在し,自然言語を特徴づける基本的な要素の1つである。そして,否定という現象は言語学だけではなく様々な分野で昔から研究され続けてきた。 「否定」というものは決して一様なものではない。なぜならば,「否定」は言語現象を非常に複雑にするものであり,音韻論,統語論,意味論,語用論にまたがる問題として分析する必要がある性質のものだからである。そうした否定研究の1つに極性項目の問題が挙げられる。 本稿では,否定の主要な研究テーマの1つである極性項目,さらにProgovac(1994)のセルビア・モンテネグロ語や,van der Wouden(1997)のオランダ語による研究から注目されるようになった両極項目(bipolar element)について取り扱う。 吉村(2000a, 2000b)は,日本語の両極項目の例として数詞「一」と分類詞に「でも」が付いた表現を挙げることができるとして,「一滴でも」や「一言でも」などを挙げている。本稿では,吉村が指摘する表現以外に両極項目があるのか,そして,NPIを両極項目にする際に現れる「で」の持つ機能について検証していきたい。

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