<論説>世本志疑 --「三礼」における『世本』受容をめぐって--

  • 李 弘喆
    京都大学大学院文学研究科博士後期課程

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>An Analysis of the Narrative Form of the Lost Passages from the Shiben 世本 Used in Commentaries on the Three Classics of Rites 三礼
  • 世本志疑 : 「三礼」における『世本』受容をめぐって
  • セイ ホンシ ギ : 「 サン レイ 」 ニ オケル 『 セイホン 』 ジュヨウ オ メグッテ

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抄録

本稿は『世本』佚文の記述形態に焦点を当て、礼学の学術史的背景を意識した上で、本稿は『世本』佚文の記述形態に焦点を当て、礼学の学術史的背景を意識した上で、「三礼」注疏における『世本』の受容状況の変遷をたどり、佚文の史料学的検討を行った。『世本』に固有の記述形式を想定した従来の議論では引用に伴う原文の攪乱といった事態を考慮しておらず、本稿は引用先の情報提示方法に注目し、佚文の注疏文としての役割を分析した。その結果、鄭玄注が専ら『世本』「作」関係の記載を用いたことの背後には後漢時代における讖緯思想の動きが看取され、賈公彦の「二礼疏」は鄭玄注に厳密に対応し、その扱い方を踏襲したと指摘した。また、『礼記正義』は礼学以外の要素も配慮され、鄭玄注の世系説明の証拠として、『世本』の世系情報を提示している。佚文の「a生b」の書法が『世本』世系記載の固有の形式であった根拠はなく、疏文が連続的な世系情報を節略した上で提示する最も常用的な形式であることが確認されるのみと主張した。

収録刊行物

  • 史林

    史林 103 (5), 617-643, 2020-10-20

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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