日本の公的機関におけるトウモロコシ (Zea mays L.) 育種のためのゲノムワイドセレクションに関する研究 : 親自殖系統群内に見られた一塩基多型

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  • A Study on 'Genomewide Selection' for Maize (Zea mays L.) Breeding in Japanese Public Sectors : Single Nucleotide Polymorphisms Observed among Parental Inbred Lines

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抄録

一塩基多型(SNP)の検知に要する費用が近年大きく減少したことにより,飼料用トウモロコシ(Zea mays L.)の育種を担当する日本の公的機関もゲノムワイドセレクション(GwS)の様な分子育種技術の導入が可能になりつつある。前報で著者らはコンピューター・シミュレーションを用い,分子マーカーをゲノム全体に渡って20センチモルガン(cM)以下の間隔で配置できれば,トウモロコシの収量性の改良を加速させる上でGwSが有効であることを示した。本研究の目的は,将来におけるGwSの実施を視野に,日本の公的機関で育成されたトウモロコシ自殖親系統群内におけるSNPの発見であった。この目的を達するため,32自殖親系統(うち31が日本の公的育種機関の育成)38個体について,最大56110SNP遺伝子座のジェノタイピングを試みたところ,以下の結果を得た。(1)将来のGwS実施に充分な数のSNPが発見された。(2)得られた結果を基に描かれた系統樹が過去の育種記録や既往の知見とほぼ一致した。(3)その一方,2個体をジェノタイピングした6自殖親系統の一部において多数または広大な未固定ゲノム領域が発見された。以上のことから,本研究により得られた結果は高い信頼性を有する一方,「自殖親系統内の多型は無視できるほど小さい」とした前報のシミュレーションにおける前提条件は,実際のGwSにおいては見直す必要性があると考えられた。

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